60代からのセカンドキャリア、警備員の仕事内容と「体力」面の不安

定年後も何か仕事をしたいな。収入面はもちろん、社会とのつながりも確保したいし。警備員の仕事は未経験でも問題ない求人が多いけどどうなんだろう。



60代に入ると、セカンドキャリアについて考えますよね。
実際、60歳以上の就業率は年々上昇し、新たな職場で第二の人生をスタートさせる方が増えています。そんな選択肢の一つとして「警備員」という仕事があります。求人数が比較的多く、未経験者でも応募できる間口の広さから、60代以上の方々にとって検討対象になることが多い職種です。
しかし、警備員の仕事を考える際、多くの60代の方が同じ疑問を抱えるのではないでしょうか。
- 「警備員の仕事は体力的に厳しいのではないか?」
- 「長時間立っていられるだろうか?」
- 「外での勤務や夜勤は体力的に無理なのでは?」
これらは当然の不安です。年齢を重ねると体力面での変化は誰にでも訪れますし、若い頃と同じようには動けないこともあります。
この記事では、60代で警備員として働くことを検討している方に向けて、体力面での実情を率直にお伝えします。良い面だけでなく、大変な面もしっかりとご紹介しながら、もし警備員の仕事を選ぶなら、どのような点に注意して求人を選べばよいか、どんな工夫で体力的な負担を軽減できるかについても触れていきます。
警備員の仕事は決して万人向けではありませんが、ご自身の体力や希望に合った現場を選ぶことで、60代でも無理なく働ける可能性があります。自分に合った働き方を見つける参考になれば幸いです。
それでは、まず警備員の仕事にはどのような種類があるのか、そしてそれぞれの体力的な負担について見ていきましょう。
警備員の仕事、実は色々あるんです!種類による体力負担の違い
「警備員」と一口に言っても、実はその仕事内容は多岐にわたります。警備業法では大きく分けて4種類の業務(1号~4号業務)に分類されていますが、60代の方が比較的就きやすいのは、主に次のような業務です。



警備員の仕事は色々あるけど、60代の方がはじめやすいのはこの3つです!
施設警備(1号業務)


オフィスビル、商業施設、病院、マンションなどでの警備がこれに当たります。具体的な仕事内容は勤務先によって異なりますが、次のような業務が一般的です。
・出入口での受付や来訪者の確認
・建物内の定期的な巡回
・防災センターでのモニター監視
・鍵の管理や郵便物の仕分け
この施設警備の特徴は、屋内での勤務が中心であることです。受付や防災センターなどでは座っての業務(座哨)が多く、立ち仕事(立哨)と巡回のバランスは勤務先によって様々です。体力面での負担は比較的軽めで、空調の効いた環境で働けることが多いため、季節や天候の影響を受けにくいという利点があります。特に、座り仕事が中心の警備は、60代の方にとって体力的な面で続けやすい傾向にあります。
交通誘導警備(2号業務)


道路工事現場や建設現場、駐車場などでの警備がこれに該当します。次のような業務が一般的です。
・工事現場周辺での車両や歩行者の誘導
・駐車場での車両の整理や案内
・交通の安全確保のための誘導棒や旗の操作
交通誘導警備の特徴は、屋外での立ち仕事が基本となることです。天候(暑さ・寒さ・雨風)の影響を直接受けるため、季節によっては体力的な負担が大きくなります。また、車両や歩行者の安全を確保するため、常に周囲に注意を払い、迅速な判断と対応が求められます。
60代の方にとっては、特に真夏の炎天下や厳冬期の屋外勤務は体力的な負担が大きい傾向があります。ただし、短時間勤務や日中のみの勤務など、条件次第では対応可能な場合もあります。
雑踏警備(2号業務)


イベント会場やコンサート、お祭りなどの会場での警備がこれに該当します。次のような業務が一般的です。
・会場での来場者の整理・誘導
・危険物の持ち込みチェック
・トラブル発生時の対応
・急病人や迷子への対応
雑踏警備の特徴は、不定期に発生する大規模なイベントでの勤務が多いことです。立ち仕事が中心で、場合によっては人ごみの中での業務となるため、集中力と体力の両方が必要とされます。
イベントの規模や時間帯によっては長時間勤務になることもあり、体力的な負担は交通誘導警備と同様に比較的大きい傾向があります。ただし、イベントごとの単発勤務が多いため、体力に自信がない方でも、自分のペースで仕事を選びながら働くことも可能です。
このように、警備員の仕事と一言で言っても、その内容や体力的な負担は勤務先や業務内容によって大きく異なります。60代で警備員として働くことを考える場合、自分の体力や健康状態に合った種類の警備業務を選ぶことが、長く続けるための第一歩となります。
次は、60代の方が警備員として働く際に、実際に感じる可能性のある体力的な負担について、より具体的にお伝えしていきます。
正直、ここがキツイかも?60代が警備員の仕事で感じる体力的な負担



体力面は仕事を続けるにあたって、やはり心配なことだね。



警備の仕事に就くとどんな負担があるのか、働く前に知っておくことは大事ですね。
ここでは、60代の方が警備員として働く際に、実際に感じる可能性のある体力的な負担について、率直にお話しします。
長時間の立ち仕事・歩行による負担
特に交通誘導警備や広い施設の巡回業務では、一日中立ちっぱなしであったり、長時間歩き続けたりすることが求められます。若い頃には何とも思わなかった「ずっと立っている」という行為も、60代になると足腰への負担は決して軽くありません。特に膝や腰に持病がある方は、長時間の立ち仕事によって症状が悪化する可能性もあります。また、巡回業務では一日に数キロメートルを歩くこともあり、足の疲労が蓄積していきます。
夜勤による体力・精神面への影響
24時間体制の施設警備などでは、夜勤があることも珍しくありません。夜勤は体内リズムを崩しやすく、60代になると若い頃に比べて体のリズム調整機能が低下しているため、より大きな負担となることがあります。夜勤後の日中の眠りが浅くなりがちで、疲労が十分に回復しないまま次の勤務に入ることで、慢性的な疲労感につながるケースも少なくありません。また、勤務先によっては仮眠環境が十分に整っておらず、質の良い休息が取りにくいこともあります。
天候の影響による体力消耗
屋外業務、特に交通誘導警備では、季節や天候の影響を直接受けます。夏の猛暑の中での立ち仕事は熱中症のリスクが高まり、冬の厳寒期は体が冷え切ってしまうことも。60代になると体温調節機能が若い頃より衰えている場合が多く、極端な暑さや寒さへの対応が体力を大きく消耗させることがあります。雨天時の屋外勤務も、濡れた状態での長時間勤務は体調を崩すリスクを高めます。
重量物の取り扱い(稀に)
勤務先によっては、多少の荷物移動や設備の操作などが発生する場合もあります。重いバリケードの設置や移動、防災設備の点検など、力仕事が含まれることも稀にあります。筋力の低下がある場合、こうした作業は腰痛や怪我のリスクを高める可能性があります。特に突発的な力仕事は、普段使わない筋肉を酷使することになり、思わぬ負担となることがあります。
ここまで読むと「やっぱり警備員は体力的に厳しいのでは?」と感じるかもしれません。確かに、警備員の仕事には体力的な負担が伴う面もあります。しかし、次章でご紹介するように、こうした負担は適切な求人選びや働き方の工夫によって、かなり軽減することができます。



自分の体力や健康状態を正しく把握した上で、無理のない範囲で働くための方法を次に見ていきましょう。
体力的な負担を軽くする警備員の仕事の「選び方」
前章では警備員の仕事における体力的な負担について率直にお伝えしました。でも、心配することはありません。適切な「求人の選び方」によって、これらの負担は軽減できます。60代でも無理なく警備員として活躍するためのポイントをご紹介します。
求人の選び方のポイント
1、まずは業務内容をしっかり確認
求人情報には必ず目を通しましょう。特に次のようなキーワードがあれば、体力的な負担が比較的軽い可能性が高いです。
- 「施設警備」「ビル警備」「マンション警備」(屋内勤務が中心)
- 「受付業務あり」「座り仕事中心」(立ちっぱなしの時間が少ない)
- 「モニター監視」「防災センター勤務」(座っての監視業務が主)
- 「巡回少なめ」「エレベーター使用可」(歩行距離が少ない)
また「交通誘導」「建設現場」「屋外勤務中心」などの仕事は、屋外での作業が中心となりますので、ご自身の希望する働き方に合わせて検討してください。
2、勤務時間・シフトの柔軟性
無理のない勤務時間やシフトを選ぶことも重要です。
- 「日勤のみ」「夜勤なし」(体内リズムを崩さない)
- 「短時間勤務OK」「4時間~応相談」(体力に合わせた勤務時間)
- 「週2~3日勤務可」「シフト自由」(十分な休息日の確保)
- 「WワークOK」「掛け持ち可」(他の仕事と組み合わせて調整可能)
特に夜勤に不安がある方は、日勤専門の求人を探すことをお勧めします。多くの警備会社では、シニア層の体力面を考慮した柔軟な勤務形態を提供しています。
3、勤務場所・環境
勤務場所も体力的な負担に直結します。
- 自宅から近い場所(通勤時の疲労を最小限に)
- 空調完備の施設(極端な暑さ・寒さを避けられる)
- エレベーターや休憩施設が充実した場所(立ち仕事の合間に休める)
- 交通の便が良い場所(通勤ストレスの軽減)
特に季節の変化が体調に影響しやすい方は、空調の整った室内勤務を優先的に検討するとよいでしょう。
4、面接での確認事項
応募前や面接時には、遠慮なく以下のような点を確認しましょう。
- 「60代でも無理なく続けられる仕事内容ですか?」
- 「具体的な一日の業務の流れを教えてください」
- 「休憩はどのように取ることができますか?」
- 「体力面で不安がある場合、配慮していただけますか?」
多くの警備会社は人手不足に悩んでおり、シニア層の経験や責任感を評価しています。正直に自分の状況や不安を伝えることで、無理のない勤務条件が提示されることも少なくありません。



多くの60代以上の警備員の方々は、こうした工夫で、体力的な負担を軽減しながら長く働き続けています。
体力面での不安は誰にでもあるものですが、自分に合った職場を選び、無理をしない働き方を心がければ、60代からでも警備員として充実した日々を送ることは十分に可能です。
次章では、体力面だけでなく、60代で警備員として働くことの様々なメリットについてもご紹介します。
60代で警備員として働く魅力とメリット


ここまで体力面での負担とその対策についてお伝えしてきましたが、60代で警備員として働くことには、様々な魅力やメリットがあります。
健康維持・増進につながる可能性
デスクワークとは異なり、適度に体を動かすことで警備の仕事は血行が促進されます。特に施設警備での巡回は、歩数計で見ると一日3,000〜5,000歩ほど歩くケースも多く、健康維持に役立ちます。また、「今日は勤務日」という意識が生活にリズムを作り、日常に活力をもたらします。実際に警備の仕事を始めて「体調が良くなった」という声も少なくありません。
人と接する機会がもたらす充実感
特に商業施設や病院などでは、お客様や患者さんに道案内をしたり、車いすの介助をしたりする機会があります。「ありがとう」の言葉が直接届く瞬間は、大きなやりがいになります。また、同じ施設を長く担当していると、常連の方々と顔見知りになり、「あの警備員さんがいるから安心」と言われることも。地域社会の一員としての実感が得られます。
60代の経験が評価される職場環境
警備の現場では若さよりも、冷静な対応力や責任感の強さが重視されます。60代ならではの社会経験や落ち着きが、むしろ高く評価されることが少なくありません。トラブル対応や来客対応など、これまでの社会経験が直接活かせる場面が多いのも特徴です。 特に施設警備では、基本的な対応マニュアルを覚え、緊急時の連絡先を把握するなど、比較的短期間の研修で業務に就けることも多いので、複雑なITスキルなどは必要ありません。
働き方の自由度が高い
「週3日の午前だけ」「月10日程度のフルタイム」など、自分の体力や予定に合わせた働き方を選べる会社が多いのが現状です。 副業禁止ではない会社も多く、別の仕事や趣味と両立しやすい環境があります。 夏場だけ、冬場だけといった季節限定の働き方も可能な場合があり、自分のペースで働けます。
経済面での現実的なメリット
月10日程度の勤務でも、7〜12万円程度の収入が得られるケースが多く、年金と合わせれば生活の安定につながります。
同世代の仲間との交流
特に施設警備などは、60代以上のスタッフが複数名勤務しているケースも珍しくありません。同じ境遇の仲間と出会える可能性が高いのです。年金や健康管理など、同年代ならではの悩みや情報を共有できる関係が生まれることも多いです。
こうしたメリットは、実際に60代から警備員として働き始めた方々の声から集めたものです。体力面での負担はありますが、それを補って余りある魅力が警備員の仕事にはあります。ご自身の状況と照らし合わせながら、検討の材料にしていただければ幸いです。



警備の仕事はメリットも多いんですね!
警備員の仕事を「長く」「元気に」続けるための5つの秘訣
60代から警備員として働き始め、長く元気に続けている方に共通するのは、無理をせず自分のペースを守りながら工夫を重ねていることです。実際の現場で活躍している60代以上の警備員の方々の経験から、長く働くための秘訣をご紹介します。
1.自分なりの「やりがい」を見つける
60代になると「ただ働くだけ」ではなかなかモチベーションが続きません。だからこそ、自分なりのやりがいを見つけることが長続きのコツです。
例えば…
- 「今日も事故が起きなかった」という達成感
- 「お疲れさまでした」と言ってくれる人の言葉
- 定位置での業務で、常連さんに笑顔で挨拶される喜び
- 施設の人から信頼され、頼りにされる安心感
こうした小さな出来事が、日々の仕事に意味を与えてくれます。
「自分の仕事が人の役に立っている」という実感があると、疲れもやわらぎますよ。
2. 無理は禁物!自分のペースを守る
周囲と比べず、自分の体力や体調に合ったペースで働くことが何より大切です。
- 少し疲れを感じたら、早めに休憩を取る
- 週5日フルタイムではなく、週2〜3日のシフトにする
- 暑さが厳しい夏や、寒さの厳しい冬には、勤務時間や勤務場所を調整する
「長く続けたいからこそ、無理をしない」が鉄則。
その日の体調によっては、休む勇気も仕事のうちです。
3. オンとオフの切り替えを意識する
仕事とプライベートのバランスは、60代になってもとても大事です。 特に警備の仕事は集中力を使うので、オフの時間でしっかりと心身を休ませることが必要です。
- 趣味の時間を持つ(ガーデニング、読書、将棋、カラオケなど)
- 好きな音楽を聴いてリラックスする
- 軽い運動やストレッチで気分転換
- 家族や友人とのおしゃべりで笑顔を増やす
「オフの充実」が「オンの元気」を支えてくれます。
疲れを翌日に持ち越さない生活リズムを意識しましょう。
4. コミュニケーションを大切にする
職場での人間関係は、働きやすさに直結します。 警備の仕事は単独行動が多いこともありますが、同僚や上司と日頃からよい関係を築いておくことで、困ったときにも助け合える環境になります。
- 挨拶をしっかりする
- わからないことは遠慮せず質問する
- 気づいたことは共有する
- 同年代の仲間と雑談する時間を楽しむ
ちょっとした会話や相談の積み重ねが、働きやすさと安心感につながります。孤独感を感じにくくなるのも大きなメリットです。
5. 常に学び続ける姿勢を持つ
「もう60代だから」と思わず、新しいことを吸収しようとする姿勢が、現場でも信頼を得るポイントになります。
- 定期的な研修には積極的に参加する
- 業務マニュアルを見直す
- 同僚のやり方を観察して、自分の仕事に活かす
- 防災や応急処置など、日常生活でも役立つ知識を学ぶ
「学び=若さの秘訣」と言われるように、前向きな姿勢が心も体も活性化させます。
それが自然と、元気に長く働ける土台になっていくのです。
無理をせず、仕事の中に自分なりの価値を見出すことができれば、60代からでも警備員として長く元気に活躍することは十分可能です。



すでに働いている先輩の意見は参考になるな。



自分に合った方法で長く続けられるといいですね!
まとめ 〜60代でも警備員は活躍できる!不安を力に変えて一歩を踏み出そう〜
この記事では、60代で警備員として働く際の体力面での実態をお伝えしてきました。
確かに立ち仕事や屋外勤務など体力を使う場面はありますが、自分に合った職場選びと働き方の工夫で、その負担は大きく軽減できます。
施設警備での座り仕事中心の勤務、日勤のみのシフト、短時間勤務など、60代の方でも無理なく続けられる選択肢は意外と多いです。
実際に多くの60代の方が警備員として活躍し、「人の役に立つやりがい」「同世代との新たな出会い」「健康維持」「安定した収入」といった喜びを感じています。
「体力的に無理かも…」という不安は誰にでもあるものです。でもその不安を認めた上で、自分に合った選択をすれば、60代からでも十分に活躍できる道が開けています。
まずは求人情報をチェックしたり、説明会に参加してみたりと、小さな一歩から始めてみませんか?あなたの長年の経験や責任感は、警備の現場できっと大きな強みになるはずです。



新たなスタートを切るのに、遅すぎることはありません。この記事があなたの背中を押す一助となれば幸いです。
※この記事は一般的な情報提供を目的としています。実際の求人内容や勤務条件は各警備会社によって異なりますので、応募の際は必ず詳細をご確認ください。また、持病をお持ちの方は、お仕事を始める前に医師に相談されることをお勧めします。