「40年間真面目に働いてきたのに、市販の履歴書の職歴欄はたった6行。転職も含めると15社以上になってしまい、どう書けばいいのか分からない」
「派遣で3ヶ月更新を繰り返してきたため、全部書くと履歴書が3枚になってしまう」
「字を小さくして無理やり詰め込んだら、老眼鏡でも読めないような豆粒文字になってしまった」
「でも、省略したら経歴詐称になるのでは?」
このような悩みをお持ちの方は、決して少なくありません。
結論からお話すると、求人応募の履歴書では、「全てを記載せず、要約して書くこと」は問題ありません。むしろ、採用担当者からは「読みやすくまとめてもらって助かる」と評価されることも多いです。
重要なのは「嘘や間違いがないこと」、そして「読み手が理解しやすいように編集すること」です。
今回は、60代以上の方が使える「職歴の省略テクニック」と、面接で質問された際の適切な回答方法を、具体例を交えて詳しく解説します。
嘘はダメだが『編集』は立派なビジネススキル
「なかったことにする」と「要約する」は異なります
真面目な方が陥りがちな思い込みが、「省略=ごまかし」という考え方です。しかし、これは大きな誤解です。
アクティブくん例えば新聞記事でも、記者は3時間の会見を400字にまとめますよね。要約は読者に分かりやすく伝える『技術』なんです。
【NG】な書き方の具体例
以下は行ってはいけない例です。
1. 短期離職を「なかったこと」にする
実際:2023年4月~6月 スーパーA店(3ヶ月で退職)
履歴書:この期間を記載せず空白期間とする
2. 雇用形態を偽る
実際:パートタイム勤務(週3日)
履歴書:正社員として勤務と記載
3. 在籍期間を改ざんする
実際:2020年4月~2021年3月(1年間)
履歴書:2020年4月~2022年3月(2年間)と記載
4. 架空の職歴を作る
実際:2022年は完全に無職
履歴書:「○○商事で事務職」と架空の職歴を記載
【OK】な書き方の例
以下は問題なく、むしろ推奨される書き方です。
1. 同業界での勤務をまとめる
- 1985年4月~1987年3月 山田製作所
- 1987年4月~1990年3月 田中工業
- 1990年4月~1993年3月 鈴木製造
- 1985年4月~1993年3月
製造業3社(山田製作所ほか)にて品質管理業務に従事
2. 短期派遣をまとめて記載する
- 2018年1月~3月 A社(派遣)
- 2018年4月~6月 B社(派遣)
- 2018年7月~9月 C社(派遣)
- 2018年10月~12月 D社(派遣)
- 2018年1月~12月
○○派遣会社より製造業4社へ派遣、組立·検査業務に従事
(3ヶ月更新、各契約満了により終了)
3. 古い職歴を要約する
1980年代に5社で勤務
- 1980年4月~1989年3月
食品業界を中心に5社勤務、販売·接客業務を担当



『要約』されている方がむしろわかりやすいですね!
職歴が入りきらない時のテクニック3選(実践編)


テクニック1 :古い経歴の「一行まとめ」
20年以上前の職歴は、詳細まで記載する必要はありません。当時の会社が現在は存在しないケースもあるためです。
パターン別の具体的な記載方法を解説します。
パターンA:同業界での複数社勤務の場合
- 1983年4月 株式会社東京商事 入社(営業職)
- 1985年3月 同社退職
- 1985年4月 大阪物産株式会社 入社(営業職)
- 1988年3月 同社退職
- 1988年4月 名古屋トレーディング 入社(営業主任)
- 1992年3月 同社退職
- 1983年4月~1992年3月
商社3社(東京商事、大阪物産ほか)にて営業職として勤務
電子部品の法人営業を担当、1990年より営業主任として部下5名を指導
パターンB:様々な業界を経験した場合
- 1980年4月 レストランA(調理)
- 1982年3月 退職
- 1982年4月 工場B(製造)
- 1984年3月 退職
- 1984年4月 スーパーC(販売)
- 1986年3月 退職
- 1980年4月~1986年3月
飲食業、製造業、小売業にて勤務
調理、製造、販売と幅広い業務を経験し、適応力を培う
パターンC:長期勤務企業がある場合
- 1975年4月 山田電機製作所 入社
- 1995年3月 同社退職(20年勤務)
- 1995年4月 田中電子 入社
- 1996年3月 同社退職
- 1996年4月 鈴木テクノ 入社
- 1997年3月 同社退職
- 1975年4月~1995年3月
山田電機製作所にて20年間勤務
製造部門から品質管理部門まで幅広く経験、最終役職:品質管理課長
- 1995年4月~1997年3月
電機業界2社にて品質管理業務に従事



『応募する業界の経験が豊富な人材』ということがしっかり伝わるのが大事ということですね!
テクニック2 :「詳細は別紙参照」の活用法
履歴書に入りきらない場合の効果的な解決策が「別紙」の活用です。簡単に作成できる方法をご紹介します。
1.レポート用紙で作成
- 罫線入りレポート用紙
- 定規(線を引く場合)とペン(黒の油性ボールペンなど)
職歴詳細書
令和6年12月1日
氏名:山田太郎
| 期間 | 会社名 | 職種·役職 |
| S50.4~S53.3 | 山田商店 | 販売員 |
| S53.4~S57.3 | 田中ストア | 販売主任 |
| S57.4~S60.3 | 鈴木スーパー | 店長補佐 |
2.パソコンを使って作成
- パソコンでWord(ワード)を開く
- 一番上に「職歴詳細」と入力
- 箇条書き(・が付く)ボタンをクリック
- これまで働いた会社名と在籍した期間を入力
- 印刷して履歴書に添え、クリップで留める



別紙は手書きでも問題ありませんよ。
履歴書本体への記載方法
履歴書の職歴欄の最後に、以下のように記載します
令和2年4月 株式会社○○入社
令和5年3月 同社退職
※平成31年以前の職歴については、別紙「職歴詳細」を
ご参照ください
以上
テクニック3: 応募職種に合わせた「ピックアップ記載法」
応募する仕事に応じて、強調する職歴を変更することも、とても有効な履歴書作成の技術です。
正社員応募の記載例
例1:事務職(正社員)に応募する場合
- 1995年4月~2010年3月
- ○○商事株式会社 総務部(正社員)
- 給与計算、社会保険手続き、採用業務を15年間担当
- 2005年より総務課長として部下5名を指導
- 基幹システム導入プロジェクトリーダーを務める
- ○○商事株式会社 総務部(正社員)
- 2012年4月~2020年3月
- △△製造株式会社 管理部(正社員)
- 経理業務、予算管理、決算補助業務
- 簿記2級資格を活かし、月次決算を担当
- △△製造株式会社 管理部(正社員)
- 1985年~1994年
製造業、サービス業にて現場業務に従事
(事務職への転職を機に、デスクワーク中心のキャリアを構築)
- 2020年~2024年
派遣社員として複数企業の事務サポート業務
(詳細は別紙参照)
- 事務職の経験年数を明確に示す
- 役職経験、プロジェクト経験をアピール
- 関連資格(簿記など)を記載
- 正社員としての責任ある立場での経験を強調
例2:営業職(正社員)に応募する場合
- 1990年4月~2005年3月
- ○○電機株式会社 営業部(正社員)
- 法人営業として新規開拓、既存顧客管理を担当
- 年間売上目標120%達成(3年連続)
- 2000年より営業課長として関東エリアを統括
- ○○電機株式会社 営業部(正社員)
- 2008年4月~2018年3月
- △△商事株式会社 営業本部(正社員)
- 大手企業向けソリューション営業
- 重要顧客10社を担当、年間売上5億円を管理
- 後進育成として新人営業10名以上を指導
- △△商事株式会社 営業本部(正社員)
- 1985年~1989年
- 小売業にて販売·接客業務(営業の基礎を学ぶ)
- 2018年~2024年
- 営業コンサルタントとして個人事業
複数企業の営業支援(詳細別紙)
- 営業コンサルタントとして個人事業
- 具体的な営業成績、数値を記載
- マネジメント経験を明記
- 顧客層(法人·大手企業など)を示す
- 営業としての一貫したキャリアをアピール
パート応募の記載例
例3:スーパーの品出しに応募する場合
- 2018年4月~2021年3月
- △△青果○○店(パート·週4日)
- 青果部門で品出し、陳列、在庫管理を担当
- 早朝6時からの勤務で開店準備を3年間継続
- 新人パートの教育係を任される
- △△青果○○店(パート·週4日)
- 2021年4月~2024年3月
- ○○スーパー△△店(パート・週5日)
- 食品全般の品出し、賞味期限チェック
- 発注補助業務も担当
- 勤務態度優秀により時給50円昇給
- ○○スーパー△△店(パート・週5日)
- 1980年~2015年
- 正社員として製造業、事務職等に従事
(定年後、体を動かす仕事を希望しパート勤務へ)
- 正社員として製造業、事務職等に従事
- 2015年~2017年
- 飲食店にて接客業務(詳細別紙)
- 早朝勤務可能、体力があることをアピール
- 小売業での具体的な経験を詳述
- 勤務日数(週4~5日)を明記し、安定な勤務が可能なことを示す
- 教育係などの信頼された経験を記載
例4:クリニック受付に応募する場合
- 2019年4月~2022年3月
- ○○内科クリニック(パート·週3日)
- 受付業務、電話対応、レセプト補助
- 電子カルテシステムの操作に習熟
- 患者様への丁寧な対応で院長から表彰
- ○○内科クリニック(パート·週3日)
- 2022年4月~2024年3月
- △△歯科医院(パート・週4日)
- 受付、会計、予約管理を担当
- 医療事務資格を取得し、保険請求業務も担当
- スタッフ不在時は一人で受付業務を完遂
- △△歯科医院(パート・週4日)
- 1985年~2010年
- 一般企業にて事務職、接客業等に従事
(人と接する仕事の経験を医療現場で活かしたいと考え転職)
- 一般企業にて事務職、接客業等に従事
- 2010年~2018年
- 介護施設にて介護補助(医療福祉への関心から)
- 詳細別紙
- 医療機関での経験を最優先で記載
- 医療事務資格など関連資格を明記
- 患者対応での丁寧さ、信頼性をアピール
- パートでも責任感を持って勤務していたことを示す



応募先企業が求める人材像に合わせた見せ方ができるといいね!
面接対策「職歴の省略について質問された時」の解答例
職歴を省略すると、面接で理由を聞かれることがあります。しかし、事前に準備しておけば問題ありません。
質問パターン別の効果的な回答例
パターン1:「職歴が省略されているようですが」と指摘された場合
「はい、40年間で多くの職場を経験させていただきました。全てを記載しますと履歴書が何枚にもなってしまうため、今回は御社のお仕事に活かせる経験を中心に記載いたしました。
例えば、レジ業務の経験が3社で合計8年ございますので、そちらを詳しく記載させていただきました。他の経験についてもご質問いただければ、お答えできます。」
「お忙しい中で履歴書をご覧いただくことを考慮し、読みやすさを重視してまとめさせていただきました。別紙に詳細をご用意しておりますが、特に気になる期間がございましたら、ご説明させていただきます」



どちらの回答も『相手のことを考えている』というメッセージが伝わります。これが重要なポイントです。
パターン2:「この空白期間は何をしていたのですか」と質問された場合
「この期間は、実家の母の介護をしておりました。要介護3でしたが、昨年施設に入所できましたので、再び働ける環境が整いました。介護の経験から、人を支援することの大切さを学び、接客業務にも活かせると考えております」
「体調を崩し療養しておりましたが、現在は完治しており、主治医からも就労許可をいただいています。健康の大切さを実感し、今後は体調管理を第一に、長く勤務させていただきたいと考えております」
パターン3:「転職回数が多いようですが」と指摘された場合
「ご指摘の通り、これまで様々な業界や職種にチャレンジし、自分の適性を探求してきました。
そのおかげで、営業、接客、事務、製造と幅広い経験を積むことができました。今では、どんな仕事でも柔軟に対応できる自信があります。60代になり、仕事選びは“何をするか”より“誰の役に立ち、どう支えるか”を重視するようになりました。御社では、これまでの経験を活かして長期的に貢献したいと考えております」
その他の切り返しフレーズ集
- 面接官:「派遣ばかりのようですが、正社員の経験は?」
- 回答:「正社員の経験は確かに少ないです。派遣という働き方を選んだのは、様々な企業の仕事のやり方を学びたかったからです。おかげで高い適応力が身につきました」
- 面接官:「3ヶ月で辞めた会社がありますが?」
- 回答:「契約期間満了です。短期契約でしたが、最後まで責任をもって対応いたしました。」
- 面接官:「なぜ前職を辞めたのですか?」
- 回答:「会社都合による退職でした。ただ、これを機に新しいことにチャレンジしたいと前向きに考えております」
絶対に避けるべきNG事例と対策
失敗例1:直近の短期離職を隠してしまった
実際の職歴
2025年1月~4月 コンビニB店(4ヶ月で自己都合退職)
履歴書に記載した内容
2024年12月 前職(スーパーA)退職
2025年1月~現在 求職中
結果: 面接で「1月から今まで何をしていましたか?」と質問され、答えに詰まってしまいました。結局、コンビニで働いていたことを説明するも、「なぜ書かなかったのか」を問われ、不採用となりました。
2024年1月 コンビニB店入社(パート)
2024年3月 同店退職(シフトが合わなかったため)



短期で辞めたことより、隠したことの方が問題視されます。『シフトが合わなかった』など、正直に理由を書き、詳細を説明できるようにしておきましょう。
失敗例2:雇用形態を偽った結果
実際の勤務形態
週3日のパート勤務
履歴書に記載した内容
「正社員」と記載
結果: 面接で「正社員なのに週3日?」と指摘され、虚偽が発覚。「パートと正社員の区別もつかない人」という評価を受け、不採用となりました。
失敗例3:在籍期間を改ざんした結果
実際の在籍期間
2020年4月~2021年3月(1年間)
履歴書に記載した内容
2020年4月~2023年3月(3年間)と記載
結果:雇用保険の加入期間と整合性が取れず、採用手続きで発覚。内定取り消しとなりました。
やってはいけない省略のチェックリスト
□ 直近1年以内の職歴を隠していませんか?
□ 正社員·パート·派遣の区別を曖昧にしていませんか?
□ 在籍期間を間違えていませんか?
□ 会社名を正確に記載していますか?
□ 退職理由で虚偽を書いていませんか?



これらは要約や省略とは異なりますので、注意してくださいね。
履歴書記載の具体例(ビフォー・アフター)
- 1979年4月 A商事入社
- 1981年3月 同社退職
- 1981年4月 B工業入社
- 1983年3月 同社退職
- 1983年4月 C電子入社
(以下、延々と続く…)
- 1979年~1989年
- 商社、製造業等5社にて営業·製造職として勤務
- 1990年~2000年
- 電子部品業界3社にて品質管理職
(課長職2年、主任職5年)
- 電子部品業界3社にて品質管理職
- 2001年~2010年
- 食品業界4社にて製造管理職として勤務
- 2011年~2024年
- 小売業3社にて店舗管理·接客業務
- 2024年3月 前職退職
※詳細は別紙「職歴詳細書」をご参照ください



採用担当者にとっても読みやすく、評価しやすい履歴書になりました。
- 2010年1月~3月 A社(派遣)
- 2010年4月~6月 B社(派遣)
- 2010年7月~9月 C社(派遣)
(3ヶ月更新が延々と続く…)
- 2010年1月~2015年12月
- ○○派遣サービス会社登録
- 製造業10社にて組立·検査業務(3ヶ月更新)
- 主な派遣先:△△電子、□□精密など
- 2016年1月~2020年12月
- ××人材派遣登録
- 食品工場8社にて製造·包装業務
- 優良スタッフ表彰2回受賞
- 2021年1月~2024年3月
- △△派遣会社登録
- スーパー、コンビニ5店舗にてレジ·品出し業務
今すぐ実践できる履歴書作成の5つのステップ
まず、全ての職歴を紙に書き出しましょう。
- 期間(年月)
- 会社名
- 職種·役職
- 主な業務内容
この段階では省略せず、全て書き出すことが重要です。
今回応募する仕事に関連する経験をマーカーでチェックします。
- 直接関連する経験:赤マーカー
- 間接的に関連する経験:黄マーカー
- 関連性が薄い経験:マーカーなし
- 20年以上前:一行にまとめる候補
- 10~20年前:業界·職種でまとめる候補
- 10年以内:比較的詳しく記載
- A4用紙やレポート用紙に詳細を箇条書き
- 手書きで丁寧に記載、もしくはPCで作成
- 履歴書にクリップで添付
- 「なぜ省略したか」の回答を用意
- 鏡の前で実際に声に出して練習
- 家族や友人に聞いてもらい、フィードバックを受ける
まとめ
□ 20年以上前の職歴は適切にまとめた
□ 今回の仕事に関連する経験を前面に出した
□ 別紙を用意した(手書きでも可)
□ 面接での説明を準備した
□ 虚偽の記載はしていない(期間、会社名、雇用形態全て正確)
この5つにチェックが入れば、履歴書は完成です。
転職回数が多くても、派遣の職歴が多くても、それはあなたが様々な環境で努力してきた証です。自信を持って、読みやすい履歴書で新しい一歩を踏み出してください。
履歴書は『会いたい』と思わせる第一歩。
今日学んだテクニックを使って、読みやすく、分かりやすい履歴書を作ってみてください。



あなたの次の職場が、素晴らしい出会いとなることを心から応援しています。










