「60代、年金だけでは将来が不安…」

このままの年金の金額で、本当にやっていけるのだろうか。



お店で買い物するたび、値段が上がっているのに、年金は思ったより少ないから困っちゃいます。
こんな心配をしているのは、決してあなただけではありません。多くの60代以上の方が、今もらっている、もしくは今後もらう年金について不安を抱えています。
年金の心配を解決する方法はいくつかありますが、その選択肢の一つとして無理のない範囲で「働く」という方法があります。
もちろん、働くことがすべての人に合うわけではありませんが、この記事では、「働く」という選択肢について、どんな働き方があるのか、そして働く場合に知っておくべき大切なことについて、客観的な情報をお伝えします。



あなたの状況に合わせて、参考にしていただければ幸いです。
年金の不安と現実
多くの方が年金に不安を感じる理由は、年金制度への将来的な不安から、生活できるだけの年金が本当に貰えるのかわからないからです。
さらに、身近に感じるのが近年の急激な物価の上昇。卵は、10年前の120円から、200円〜300円に、牛乳は150円から200円〜250円に、電気代は30〜40%も上がっています。
専門家によると、今後も物価上昇が続くという予想です。
実際の老後生活にかかるお金を見てみると、夫婦2人で最低限の生活をするには月約22万円、少しゆとりのある普通の生活には月約26万円〜28万円、余裕のある生活には月約35万円〜40万円が必要とされています。一方、平均的なサラリーマン夫婦がもらえる年金は月約22万円前後です。つまり、普通の生活をしたい場合は月4万円、余裕のある生活なら月13万円も足りない計算になります。
さらに、介護が必要になれば月10万円近い追加費用、その他病気やけがの治療費、家の修繕費、車の買い替えなど、予想外の出費も考えられます。年金の金額は物価に合わせて調整されますが、実際の物価上昇に追いつかない場合もあります。このような現実を考えると、「年金だけで本当に大丈夫なのか」と心配になるのは自然なことです。
「働く」ことで得られること



働くことには、お金の面と心の面の両方で得られるものがあります。
まず、収入面に関して、週1回程度のお仕事でも月額3〜4万円、週2〜3回ですと月額10万円近い収入になることもあります。先ほどお話した年金の不足分(普通の生活で月4万円不足)を考えると、これだけでもかなりの違いが生まれます。働いて得たお金の一部を貯金に回せば、将来の病院代や介護代、急にお金が必要になった時にも備えることができます。また、お金に余裕ができることで、趣味や旅行などの選択肢も広がるはずです。
心の面や人とのつながりでは、職場での人との関係により、社会とのつながりを保つことができます。「誰かの役に立っている」という実感を得られる場合もあります。働くことで規則正しい生活リズムが保てたり、新しい職場や仕事を通じて、これまで知らなかったことを経験できる場合もあります。
ただし、働くことにはリスクもあります。人間関係が逆にストレスになる場合もありますし、責任を負うことにプレッシャーを感じる方もいます。また、自由な時間が制限されることにもなります。働くかどうかは、メリット・デメリットの両面を考えて判断することが大切です。
どんな働き方がある?60代以上の働き方の選択肢
実際に働くことを検討する場合、以下のような選択肢があります。
(1) パート・アルバイト:短時間・短日数での勤務
- 週2〜3日、1日4〜6時間など、時間を調整しやすい
- 比較的責任の軽い業務が多い
- コンビニ、スーパーの店員
- 清掃スタッフ
- 簡単な事務作業(パソコン入力、受付など)
- 配達・配送のお手伝い
- 軽作業(箱詰め、仕分けなど)
(2) 新しい会社での就職(再就職)
長年培った技能や知識を活かせる職場もあります。ただし、条件・待遇など自分に合った求人があるかどうか、良い会社と出会えるかどうかはタイミングによっても変わってきます。
- ハローワーク(職業安定所)の60代向け相談窓口
- 60代向けの求人サイト
- 地域の就職相談所
(3) 定年退職した会社での継続雇用(再雇用)
慣れ親しんだ職場で、働き続けることができます。
- 職場環境や人間関係は既知
- お給料や待遇は現役時代と変わる(下がる)ことが多い
- 役職や責任範囲は変わる可能性
(4) 個人での仕事(業務委託)
専門的な技能や知識、業界内での人脈がある場合、これまでの培った経験を活かして、自分のペースで働くことも可能です。
- コンサルティング(相談業務)
- 翻訳・通訳
- 講師・指導員
- 手作り品の製作・販売
(5) シルバー人材センターの利用
気軽に働け、簡単な仕事も多いですが、軽作業が中心となります。
- 短時間・短期間の仕事が中心
- 地域密着型の働き方
- 会員同士の交流もある
【重要】年金をもらいながら働く場合に知っておくべきこと
年金生活を送りながらも、もう少し働きたい場合、働き方によっては年金が減ったり、税金や社会保険が変わったりすることがあるので、少し注意が必要です。
(1) 働きながら年金をもらう時のルール(在職老齢年金ってなに?)
会社で厚生年金(会社員や公務員などが加入する年金)に入りながら働いて給料をもらうと、その給料の金額と、もともとあなたがもらう予定だった厚生年金の月額を合わせた金額によって、年金の一部、あるいは全部がストップすることがあります。これを「在職老齢年金」といいます。
(2) 税金のこと
給料をもらうと、国に納める「所得税」と、住んでいる街に納める「住民税」がかかります。これは年金をもらっている人も同じです。 年金は「雑所得(ざつしょとく)」という種類のお金として、お給料とは別に税金の計算がされます。お給料と年金、その他の収入を合わせると、自分で税金の計算をして国に報告する「確定申告」が必要になることがあります。
- 国からもらう年金の合計が、1年間で400万円を超えるとき。
- 年金以外に、お給料や個人年金、不動産の家賃収入などで、経費を引いた後の儲けが20万円を超えるとき。
- 1つの会社からお給料をもらっていて、そのお給料や退職金以外の儲けが20万円を超えるとき。
- 2つ以上の会社からお給料をもらっていて、主としていない会社からのお給料と、その他の儲けを足して20万円を超えるとき(主としている会社で年末調整をしていても必要になることがあります)。
- その他、医療費控除や寄付などで税金を安くしたいとき。
ここに書いたのは一般的なお話です。一人ひとりの状況によって、細かいルールは変わってくることがあります。 「自分の場合はどうなるんだろう?」と心配なときは、お近くの年金事務所や税務署に相談してみてください。
働くことを検討する際に考えたいこと
(1) 体力・健康状態との相談
体力や健康状態を考慮し、無理のない仕事内容や勤務時間を選ぶことが重要です。
(2) 段階的にスタートする
最初から無理をする必要はありません。体力的な不安や、久しぶりの仕事に対する緊張感もあるかもしれません。そのような場合は、短時間勤務や週に数日といった少ない日数から始めることを検討しましょう。実際に働き始めることで、自身の体力や仕事のペースを把握することができます。もし、想像以上に負担が大きいと感じた場合は、労働時間や日数を調整することも可能です。
(3) スキルアップの機会
ハローワークの職業訓練や地域の講座は、無料〜数千円など安価に新たなスキルを身につけることができます。独学でも、問題がなければ、インターネットの学習サービスも有効な手段です。高額なセミナーや、IT系のスキル獲得を謳った塾も存在しますが、入会を検討する際は十分に注意してください。
(4) 仕事の探し方
- インターネットの求人サイト
- 幅広い業種や職種の求人情報が掲載されており、自宅にいながら手軽に検索できます。
- 年齢不問やシニア歓迎の求人に絞り込んだり、希望する勤務地や時間帯で検索したりすることが可能です。
- 新聞の求人欄
- 地域に密着した求人情報が掲載されていることがあります。
- インターネットに不慣れな方でも、手軽に情報を得ることができます。
- 折り込みチラシにも求人情報が含まれている場合があるので、併せて確認しましょう。
- 地域の情報誌
- 地元企業の求人や、地域ならではの仕事情報が見つかることがあります。
- スーパーマーケットや公共施設などで無料配布されていることが多いです。
- 地域のイベントやボランティア募集など、就労に繋がる情報が得られることもあります。
- 知人からの情報
- 友人からの紹介は、職場の雰囲気や仕事内容など、求人情報だけでは分からない情報を得ることができます。
- ハローワーク
専門の相談員に相談しながら、求人情報の提供や職業相談、職業訓練の案内などを受けることができます。 - シルバー人材センター
高年齢者が地域社会で活躍できるよう、短期的な仕事や軽作業などの仕事を紹介しています。 - 再就職支援セミナー
企業によっては、退職者向けに再就職支援セミナーを実施している場合があります。 - ボランティア活動
直接的な収入にはなりませんが、社会との繋がりを保ち、新たなスキルや経験を得る機会になります。それが将来的な就労に繋がる可能性もあります。
これらの情報源を活用し、積極的に行動することが大切です。
(5) 家族との話し合い
最後に、自身の希望や考えだけでなく、家族からの理解を得ることも大切です。
まず、なぜ働きたいのか、その動機や目的を具体的に伝えましょう。年金収入への不安の解消、健康維持、社会とのつながりの維持、自己実現など、働くことによって得られるメリットを共有することで、家族の共感を得やすくなります。
もし反対意見が出た場合は、感情的に反論するのではなく、相手の立場や心配事を丁寧に聞き、理解しようと努めましょう。その上で、自身の考えや希望を改めて伝え、双方が納得できるような解決策を探ることが大切です。
家族との話し合いを通じて、働くことに対する共通理解を深め、協力体制を築くことが、老後の幸せな生活には欠かせません。
まとめ 自分に合った選択を考えてみる
年金だけでは将来が心配というのは、多くの方が考える自然な気持ちです。その解決策の一つとして「働く」という選択肢があります。もちろん、働くことがすべての人にとって最適な解決策ではないかもしれませんが、収入面での安心や、社会とのつながりなど多くのメリットが期待できます。
自身の健康状態や価値観、家庭の状況などを踏まえながら、働くことも一つの選択肢として、検討してみてください。
この記事が、あなたらしいセカンドライフを送ることの助けになれば幸いです。